ヘルタースケルター (Feelコミックス)

ヘルタースケルター (Feelコミックス)

とりあえず読め。沢尻エリカ主演で映画化、とか関係なく。リア充ご用達? とんでもない。脱オタ(含む脱オタに失敗したオタ)のための本。
前々から本屋行っては気になっていて。とうとう思い切って買ってみたらすごく面白い。面白すぎてエグすぎて、読んでて思わず笑いが込み上げるほど。
で、何が面白かったのか……ヒロインにむっさ共感した。そのたぐいまれなる美貌で、押しも押されぬトップモデルのヒロイン。だけど、もともとデブ専の風俗で働くような底辺だった。それが、明らかに違法な美容整形+本人の努力で今の地位を勝ち取った。主人公の秘密を巡って、検察官が捜査をして……ってのが本筋だけど、そちらは割愛。っつーか読め。
閑話休題。さて、このヒロイン、一見すると自由奔放でかわいらしく、自然体の可愛い女の子である。ところがどっこい、それはあくまでもポーズである。彼女は常に「大衆が望む自分」を演じている。一皮むくとコンプレックスの塊である。元が元なだけに、常に「美しくなくなる = 自分の価値がなくなる」ことを恐れている。だからこそ、過剰なまでに「自分自身」を演じている。あまりにも上手に「自分」を演じる己を冷ややかに見つめながら。
これって、まさに脱オタだよなぁ、と。オタク時代だった自分を隠して、必死に「今の自分」を生きようとする。会話するときは、「リア充ならこうするだろう」という理想像に必死に従う。必死でファッション誌を読んで、オタっぽくない外見を目指す。まさに、オタが脱オタして必死であがく姿に重なってしまうのです。*1
どんなに努力しても満たされることはなく、常に「オタとばれるのでは」という恐怖と戦っている。一見さわやかなリア充に見える人ほど、実は内面「そうあろう」と努力している脱オタなのかもしれない。
というわけでこの本、リア充以上に、調子のってリア充ぶろうとしているオタどもに実にお勧めです。読んでも共感できなかった? 多分それは、あなたが自分が思っている以上にリア充だったからです。おめでとうございます、リア充の仲間入りです。
ちなみに、このような文章を書いている当の本人は「リア充目指した結果、職場全体に己のオタ趣味を暴露してしまった」、という経歴の持ち主です。脱オタは計画的に。

*1:脱オタなんてここまでヒドくねーよ、という一般人の方々。(いたら)身近の脱オタに聞いてごらんなさい。脱オタがオタを脱するためにどれほどの努力を重ねているか。