本を読むということ
意外と難しいです。手にとってパラパラめくるだけなら猿でもできるし。
「本を手に取る ⇒ 開く ⇒ 文字を追っていく ⇒ すべての文字を見たら 1ページずつめくる」という動作そのものだったら、ロボットだってできます(本を持つという技術的な点さえクリアできれば)。
ところが、これじゃあただ本をめくっているだけであって、読んでいるとは言えない。じゃあ、本を読むとはどういうことか? 書いてある内容を理解し、作者の意図を理解する? 作者の意図? 作者と自分は他人です。人の心を理解する、んなことエスパーじゃないとできない。
ただめくるのもダメ。作者の心なんて分かりっこない。じゃあ本を読むとは何か? ここで出てくるのが読書感想文、いわく「本を読んで自分の感想を書く」こと。自分の感想、これだったらめくっているだけじゃ分からないし、かといって作者の意図を理解する必要は無い。
「本を読むとは、特定の書籍をある程度理解し、自分なりの感想を引き出すことである」
なんだかそれっぽいです。
ところがどっこい。例えば読書感想文でプルーストの「失われた時を求めて」を読み通す。内容もある程度理解しました。けれどその感想で「紅茶に浸したマドレーヌって美味しそうです」なんて書いたら、「馬鹿にしてんのか」と怒られるでしょう。たとえ、自分なりには嘘偽り無い感想でも。
とかく、本を読むってのは難しいです。どっとはらい。
(本を読むとは、その本および読んでいる主体を取り巻く社会や周りの人々が、「彼は本を読んでいる」と認識することじゃないか、それは別の話)
※参考図書
- 作者: ピエール・バイヤール,大浦康介
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
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