リアルとヴァーチャルを区別できない人々

「現実を持ち出してネットを批判する人」は、所謂「妄想と現実の区別がつかない人々」とは異なる形でリアルとネット区別できてないじゃん、と考えた。

ネットで食欲を満たすことはできない。しかしこれまで社会で重視されている価値もほとんどがヴァーチャルだ。

ヴァーチャルなものがリアルなものを置き換えることはできない。しかし、こういう文脈でネットに対置して「リアル」と呼ばれるもの、お金とか法律とか政治とか、そういうものはほとんどヴァーチャルだ。人々が合意するから意味を持つものであり、その合意が無くなった時には全く無意味になってしまうものだ。

2008-12-27

ネット(ヴァーチャル)のルールも現実(リアル)の法律も、「所属する人間の規範」です。
「人々の行動を決定する」という点では、価値に差は有りません。
法律がルールに優先するのは、両者の価値に差異があるわけじゃありません。前者が後者よりも重要だという判断に、多くの人々が同意したからです。
人間の判断は常に同じわけじゃ有りません。同一人物に同じ選択肢を与えても、そのときの状況や時勢で答えは違っていきます。
だから、そういう同意の上に成り立つ規範も、同じように曖昧なものです。

だからと言ってルールと法律に差が無いかというと、実際にはそうはなりません。
「法律が我々の規範だ」という同意の下に我々の社会が成り立っている以上、法律を守らなければなりません。
いや、別に守らなくてもいいけれど、そうしたら我々の社会で暮らせません。
言わば社会に所属して保護を受ける条件として、法律を守らなければいけません。

閑話休題
ヴァーチャルとリアルは全然違った環境です。人は一緒でも、合意も同じになるとは限りません。
何が言いたいかっていうと、「現実では○○だけどネットではできない。だから現実は素晴らしい」と褒める人は、リアルの規範をヴァーチャルにも適用しようとしているわけで、即ちリアルとバーチャルの差を分かって無いんじゃない? と思うわけです。