J.ケッチャム 「隣の家の少女」

知る人ぞ知る鬼畜小説の金字塔。あのスティーブン・キングが絶賛した(らしい)カルト小説の傑作です。もっと言うなら、2ちゃんの秋山瑞人スレで、定期的にオススメされる本だったりします。
詳しいあらすじは、ググれば幾らでも見つかるから省略するとして、とりあえずこのページで素敵な表現を見つけたので引用してみます。

 陰惨な現場を目の当たりにしながら、見ること以外何もできない"少年"と、まさにその描写を読みながらも、読むこと以外何もできない"わたし"がシンクロする。見る(読む)ことが暴力で、見る(読む)ことそのものがレイプだと実感できる。この作品を一言で表すなら「読むレイプ」。

読了感はとにかく最悪。正直、この本をベタ褒めする人間とはお付き合いしようと思わなくなるほどです。
でも、ここまで「人間の弱さ」を読者に突きつける小説は無いんじゃないかと思います。
例えば作者とよく比較される、スティーブン・キングだったらユーモアと哀れみでごまかしてしまう部分を、正面から且つ淡々と書ききっています。
我々(読者)は、そういう「人間の弱さ」を真正面から見せ付けられ、問いかけられ、沈黙してしまう。
良識と覚悟がある(と思っている)人にはお勧めの一品です。